脊髄腫瘍の診療科目
脊髄腫瘍(脊髄髄内腫瘍・脊髄髄外腫瘍・馬尾腫瘍)が脳神経外科と整形外科の、診察内容の境界領域に該当します。
今、日本の医学会に脊椎や脊髄を、誰が手術するのかを巡る論争がありますが、近年脳神経外科と整形外科が融和の流れを見せはじめ、お互いの臨床研究の情報交換を行い、医学雑誌『脊椎脊髄ジャーナル』を合同で開催するようになってきました。
脳神経外科(neurosurgery)
- 診察
- 脳・脊髄・末梢神経
- 手術
- 脊髄腫瘍(脊髄髄内腫瘍・脊髄髄外腫瘍・馬尾腫瘍)の手術が可能
- 歴史
- 約40年の歴史(整形外科よりも、脊髄の取扱いが遅れた)
昭和40年、脳・脊髄および末梢神経を取扱う外科として誕生
- 専門医
- 脳神経外科の中に、脊髄腫瘍の専門医はいます
(日本脊髄外科学会の指導医・認定医)
- 学会
- 日本脳神経外科学会 (脳神経外科の医師のみ)
日本脊髄外科学会 (脳神経外科の医師のみ)
- 雑誌
- 脳神経外科速報(脳神経外科のみ)
脊椎脊髄ジャーナル(脳神経外科・整形外科の両方)
- 顕微鏡
- 顕微鏡下手術の導入時期が、整形外科よりも早かった
(顕微鏡で拡大して見る方が、正確な手術ができる)
- 世界
- 欧米は脳神経外科が、脊髄腫瘍の手術を担当する
(先進国の中で脳神経外科が脊髄や末梢神経を扱わない国が、日本とイタリアであるとの揶揄もある)
- 形勢
- 脊髄腫瘍の分野を、脳神経外科が攻める形
(脊髄腫瘍の分野を、欧米基準に近づけるため)
- 考え
- 背骨の中の神経(脊髄)は、脳の続きだと考えられるので、脳をよく知る脳神経外科が、脊髄腫瘍の手術に適任だとの考え
- 判断
- 手術を優先的に考える
(脊髄腫瘍による、脊髄のダメージを最小限にするため) - 医学書
- 脊髄腫瘍の医学書は、脳神経外科が多い
整形外科(orthopedic surgery)
- 診察
- 骨・関節・筋肉・靭帯・腱・脊髄・神経
- 手術
- 脊髄腫瘍(脊髄髄内腫瘍・脊髄髄外腫瘍・馬尾腫瘍)の手術が可能
- 歴史
- 約100年の歴史(脳神経外科よりも、脊髄の取扱いが早い)
大正15年、骨・関節・筋肉・靭帯・腱・脊髄・神経を取扱う外科として誕生
- 専門医
- 整形外科の中に、脊髄腫瘍の専門医はいます
(日本脊椎脊髄病学会の指導医)
- 学会
- 日本整形外科学会 (整形外科の医師のみ)
日本脊椎脊髄病学会 (整形外科の医師のみ)
- 雑誌
- 整形・災害外科(金原出版)
脊椎脊髄ジャーナル(三輪書店) (脳神経外科・整形外科の両方)
- 顕微鏡
- 顕微鏡下手術の導入時期が、脳神経外科よりも遅れた
(現在、整形外科でも脊髄腫瘍の顕微鏡下手術が原則) - 世界
- 脊髄腫瘍を整形外科医が手術するのは、日本の特徴
(日本では従来、脊髄腫瘍は整形外科が担当) - 形勢
- 脊髄腫瘍の分野を、整形外科が守る形
(日本特有の分野の伝統を守るため) - 考え
- 背骨(脊椎)を外すので、背骨がぐらついたり曲がったりしない手術のためには骨をよく知る整形外科が脊髄腫瘍の手術に適任だとの考え
- 判断
- 自然経過も踏まえ、総合的に判断
(最終的には、手術を選択する事となる) - 医学書
- 脊髄腫瘍の医学書は、脳神経外科よりも少ない